アートシンキングという言葉がビジネスパーソンの間でも話題になるようになりましたが、「何となく頭では理解できるのだが、実際にはどうやって身につけたらよいのか?」とお悩みの方も多いのでは?
アートシンキングそのものも色々な定義付けがある中、これでOKというメソッドは無いとは思いますが、子どもから大人まで、どんな方でもその一旦が味わえるのではというツールがあります。それが「アートカード」です。
「アートカード」とは、アート作品(絵画、彫刻、時に建築なども含む)をポストカード程度のサイズに印刷したものです。(写真を参照) この「アートカード」を使って美術史的な知識を深めていくことも勿論できますし、色々なワークショップ(≒ゲーム)を通して、アートシンキングを体感していくこともできます。
今回丸の内プラチナ大学「アートフルライフ・デザインコース」では、「アートカード」ゲームの一つの定番である「物語作り」をベースに、”コミュニケーション”を体感するワークショップをデザインしてみました。題して「私たちのアート物語」です。
まず初めに、参加者の皆さんに「アートカード」の中から、最も自分がアートらしく感じるカードと、アートから遠いと感じるカードを一枚ずつ選んでもらいます。「え~、だってこれアートカードなんだから全部アートなんでしょう?」というナイスな質問を早速いただきました。ここでのポイントは「自分が」というところ。まずは自分の中にあるアートのセンスを引き出してみようということです。
次に、なぜそのカードが自分にとって「アート」なのか/遠いのか、その理由を付箋紙に書き出し、選んだカードと合わせてホワイトボードに貼りだし、グループの皆さんと共有します。「アート」として感じる、感じないのポイントが同じでないこと、つまりはバラエティの多さ、「正解」のない楽しさを味わっていただけたようです。今回は、さらに一工夫して、自分の「アートセンス」に名前を付けてもらいました。選んだカードから感じる言葉を使って、「柔(やわ)派」とか「ザラ派」、「宇宙と交信派」などなどユニークなネーミングが続出!
ここまでが前段階です。ここからいよいよアート物語を作成します。各メンバーの出した「アートと一番思えるカード」を使って、物語の前半を作ります。「アートカード」を使った”紙芝居”を作る感じでしょうか。この際のポイントは「即興(Improvisation)」。 前の人が出したカードに、自分のカードを使って物語を続けていくというのがルールです。「これ、どうやって受けたらいいのぉ~」と、自分の番が回ってくるとドキドキですが、逆に予想もしない展開に、グループのみんなで大笑いといった感じになっていました。
後半は「アートから一番遠い」と思うカードを使って物語のエンディングまでを作ります。前半と大きく異なるのは、グループ全員で相談しながら、台本を組み立てていくことです。「計画(Plan)」あるいは「台本(Scenario)」作りをチームとして進める感じですね。前半は「偶然」、後半は「意図」を意識してもらうプロセスなのですが、面白いことに、前半の方がやりやすかったというグループと後半の方がスムーズだったというグループに感想が分かれたこと。この辺り、チームで何かをやる時の参考になる気づきもありそうですね。
「アートカード」を使ったワークショップの様子。少しはイメージいただけたでしょうか? 「アートカード」を使ったゲームやワークショップのやり方はそれこそ無限大。企画を立てること自体で色々と発想が広がるので、それだけでも十分に「アートシンキング」が鍛えられそうですね。
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