今年のアート鑑賞、アカデミー賞的振り返り

本日よりいよいよ師走。少し気の早い気もしますが、今年のアート作品を振り返り、アカデミー賞(主要五部門)になぞらえて勝手に「賞」を出しておこうかと。対象は勿論自分自身が直接堪能したものに限定。ギャラリー含めて60以上の「展覧会」に顔出してみましたが、勿論見逃したものの方が沢山。「あれが無いだろう!」もあると思いますが、見ていないのでごめんなさいということで。何より、美術ファンの目線というよりは、ビジネスパーソン視点で、これは“学び”があったなぁというものを好んで選んでいますので、念のため。

★主演女優賞★ 
今年一番印象に残った女性作家は…塩田千春 
森美術館で開催の『魂がふるえる』展は、歴代2位の66万6271人(美術手帳Webより)の入場者を記録! インスタ映えする展示に、思わず「わぁ綺麗」と言ってしまった自分が、足を進めるほどにドロドロ感と向き合う羽目に。インパクトがともかく凄かったです。女性が足を運ぶ企画が大事と改めて認識。
*次点…やなぎみわ 

★主演男優賞★
今年一番印象に残った男性作家は…クリムト
東京都美術館と国立新美術館で、コラボ企画かと思うような“共演”の機会が。こういうプロモーションの仕方、ありですよね。あの作風にして、おじさん然とした風貌、それでいてやはりモテる。男性作家にはやはりミューズが必要なのかと、一人合点してしまいました。
*次点…ボルンタンスキー

★監督賞★
うまく作品を演出してくれたなぁと感じた展覧会… サントリー美術館「information or inspiration? 左脳と右脳でたのしむ日本の美」  by nendo(佐藤オオキ)
キャプションを読む派、読まない派に美術ファンで分かれるケースが多いのですが、これを徹底したよなぁと、めちゃめちゃ感心。傘をさしてそぞろ歩きするようなコーナーも秀悦。“古美術”がてんで新しく感じられました。
*次点…ポーラ美術館 「シンコペーション:世紀の巨匠たちと現代アート」

★脚本賞★
展示そのものに物語のような魅力を感じた展覧会…国立新美術館「カルティエ、時の結晶」展 by 新素材研究所 / 杉本博司+榊田倫之
ジュエリーデザインには、ぶっちゃけ、縁遠かったのですが、これはもう惹きつけられました。展示空間が半端なかったです。まさに「素材」に手を加えてどう見せる(魅せる)のかという、宝飾の基本を表現したのではないかなぁと。展示ディスプレイにお金かかってるのがありありで、ラグジュアリーな世界に妥協は無いのだと、庶民として理解できる貴重な機会でした。
*次点…山梨県立美術館 「デザインあ展」, 三菱一号館美術館 「マリアノ・フォルチュニ 織りなすデザイン展」

じゃじゃーん、そして今年の栄えある
★作品賞★
今年見た中では最高でしょうこれ! の展覧会…「瀬戸内国際芸術祭2019(秋会期)」
悩みました。だって、12島+高松,宇野という広域で開催。単独で素晴らしい常設の美術館だって混ざってますからね。これを一つとしてカウントして良いのかと、不公平?ではないかと…いや、やはり良いのです。〇〇トリエンナーレが話題となった今年。地域に根ざしたアートの力(時に強引過ぎたり、調子がずれていたりする面も含めて)をまざまざと感じさせてもらいました。粟島で見た瀬戸内少女歌劇団は一生忘れられない体験となりそうです。

さて、来年はどんな作品と出会えるかなぁ…。
日本も飛び出していきたいと思っています。