【ブログ】ビジネスに効く?アートな話③ 「印象派に見るイノベーションの極意Ⅲ」

絵画の世界で有名なイノベーションの一つと言えば「印象派」。一部の天才たちにより引き起こされたようにも思えますが、印象派の背景をもう少し見ていくと、彼ら彼女らは、単に時計の針を早く進めたことが分かります。
(ここまでの内容は、ビジネスに効く?アートな話① & ビジネスに効く?アートな話② をご覧ください)

ビジネスパーソンが最も知りたいことは、この時計の針を早く進めることかもしれません。そこで、印象派の様子を、マーケティング理論ではお馴染みの「PEST」になぞらえて勝手に考察してみました。

 

これまでの指標に当てはまらないのがイノベーション

勿論、印象派の例を従来の「PEST」にあてはめてみても実はあまり意味がありません。そこでイノベーターを分析をする新しい「PEST」を考えてみました。

P=People(人)

企業でイノベーションを起そうと思い立ったら、「変人(異端な人)」を集めて、チームにしてしまうことから始めましょう。それも既存組織上の部門にするより、「イノベーション派」として名乗らせた方が、より効果的かもしれません。

企業内でMBAホルダーがもてはやされた後、「変わった人」「使いにくい人」としてフェードアウトしていった例がありますが、これは既存部門に配置したがための当然の帰結です。普通の人の集団に、イノベーターを天才として認識させることはほぼ不可能です。それより、何だかわからない連中として目立たせた方が、その存在を認めさせる可能性は、何倍も高まります。「印象派」として集団として目立ったからこそ、その存在が世間で広く認知されたのと同じことです。

 

E=Emotion(感情)

事業トップがこれはと思うメンバー、”次代のエース”を選抜してイノベーション推進を任せるというケースが多いと思いますが、これは止めた方が良いかもしれません。

印象派の画家たちの中に、王立アカデミーから指示を受け、「異端」の作品を描いた者は一人もいません。「今のやり方、進め方に飽きたらない」という想いを持った個人が、勝手に動けるような形にする方が、強い推進力を生むのではないでしょうか。

 

S=Safety(安全)

これも非常に大切です。イノベーターと呼ばれる人たちの、普通の人にはわけの分からない行動は、単に咎められない(ペナルティを与えられない)だけでなく、むしろ思う存分やらせてあげる環境を整えることが重要です。

印象派の画家たちは、何となく貧乏なイメージが浮かんでくるのですが、実はブルジュア、お金持ちの子息が多いのです。だからこそ、革新にかける時間と心の余裕が持てたと言えるでしょう。明日の生活に困る状態で、長く「異端」を続けることは、かなり難しいことなのです。

 

T=Trial(実践)

イノベーションのアイデアは、企画書で判断してはいけません。いや、企画書を書いている暇があってはまずいくらいです。

「こんな作品を描こうと思っているのだが…」と、画家に長々と説明してもらっても、その画家の技量や感性を推し量ることはできません。実践を重ねることで、アイデアが形となって、周囲の人間の目に触れ、絶賛であれ酷評であれ、何らかのフィードバックを得ることで、イノベーションが進んでいくわけです。

 

《印象、日の出》は、全体にモヤモヤとした画面の中で、くっきりとした太陽のオレンジ色が、本当に鮮やかに輝いて見えます。

本当のイノベーションとは、取るに足らないように見える一つ一つの積み重ねがしだいに形となって生まれてくるもの。先行する「変わった人たち」が、その形を眩い光として感じ、示してくれることで、一般の人間が初めて認識し、心動かされるものなのではないでしょうか。100年前に興った印象派に、ビジネスパーソンが学ぶことは多いように感じます。

…と、勝手なうんちくを語るのも、美術の楽しみ方の一つかなと。

【ブログ】ビジネスに効く?アートな話② 「印象派に見るイノベーションの極意Ⅱ」

絵画の世界で有名なイノベーションの一つと言えば「印象派」。一部の天才たちにより引き起こされたようにも思えますが、印象派の背景をもう少し見ていくと違った様子も見えてきます。
(ここまでの内容は ビジネスに効く?アートな話①をご覧ください)

まず主題。印象派の出現まで、日常の光景を描いた画家たちが西洋にいなかったのかと言えば、そんなことはありません。第1回印象派展(1874年)のおよそ25年前に、ミレーという画家は農民の生活シーンを描いていましたし、クールベという画家も、1855年には自身をレアリスト(写実主義者)として名乗り、田舎町で市井の人の葬式を描いたりしています。印象派は主題の選び方で、決して先駆者であったわけではありません。

 

印象派の筆触分割という描き方も、確かに斬新なものでしたが、いくつかの要素が誕生していたからこそ実現できたと見ることもできます。1839年の写真の発明。これにより、本物そっくりという絵画の価値は下がっていくことになり、画家は、光や色といった新しい価値を見いだし、表現する必要がでてきました。1841年に発明されたチューブ入り絵の具によって、画家はそれまでの室内のアトリエではなく、戸外で絵画を完成させることができるようになり、明るい日の光を表現できるようになったのです。1843年にパリと郊外のルーアンが汽車で結ばれたことも、画家たちのフィールドを広げ、新しい画法を試す機会を与えたと言えるでしょう。

 

何より、印象派の誕生に一番大きかったのは、絵画を鑑賞する層が、これまでの王侯貴族から、新興ブルジュワジーや一般市民に広がってきたことです。絵画美術が大衆化し、これまでとは違うタイプの絵画が求められる土壌ができてきたという状況がなければ、印象派の画家たちが、短期間にこれほどの人気を博すことはなかったでしょう。

 

このような話を聴くと、マーケティングに見識のある方は、「PEST分析」を思い出すかもしれませんね。PEST分析とは、マーケティングの大家、フィリップコトラー氏が提唱した、「自社を取り巻くマクロ環境を以下の4つの視点から、現在及び将来にわたりどのような影響を与えるかを分析する手法」のことです。

この4つの視点の中で、何かが大きく欠けていたり、著しく未成熟だったりすると、どんなに良いアイデアであっても、実現して世間に受け入れられることは難しいということになります。天才がどんなに出現したところで、機が熟していなければ、イノベーションは起こらないという風に考えることもできます。確かに、印象派の画家たちは、時計の針を早めに進めたかもしれませんが、彼ら彼女らだけが、絵画の革新を推し進めたわけでないことだけは確かなのです。

印象派に学ぶべきイノベーションの本当のポイントは?

しかしながら、時計の針を早く進める方法こそ、ビジネスパーソンが実は最も知りたいことであり、学びたいことかもしれません。印象派の様子をさらに眺めていくと、これは参考になるかもと思う点がありました。新しい「PEST」です。

続きは「ビジネスに効く?アートな話③」をどうぞ

【ブログ】ビジネスに効く?アートな話① 「印象派に見るイノベーションの極意Ⅰ」

最近いただくビジネスパーソンの名刺に「イノベーション〇〇」という部門名をよくみかけるようになりました。以前なら、「新規事業企画」とか「事業戦略推進」といったネーミングだったかもしれません。どうやらイノベーションは、日本企業にとっては、昨今避けて通れない話題のようです。しかしながら、「さぁ、我が社もイノベーションを起そう!」と、部門を立ち上げたからといって、そう簡単に事は進みません。アートの世界に、参考になりそうな事例はないでしょうか。


印象派の起したイノベーションとは?

絵画の世界での「イノベーション」の代表例と言えば印象派。日本での人気も、大変なものです。モネ、ルノワール、ドガ、セザンヌといった印象派の画家たちの作品が並ぶ展覧会は、毎回長蛇の列です。日本に限らず、例えばパリのオルセー美術館など、印象派の殿堂と呼ばれる美術館は、観光名所としても世界に名を轟かせていて、美術ファンならずとも「行っておかなければならない場所」になっています。では、印象派の起した「イノベーション」とはどんなものだったのかを、みていきましょう。

 

1874年、パリで開かれた「画家、彫刻家、版画家などによる共同出資会社」の展覧会(のちにいう第1回印象派展)が、印象派の始まりです。この展覧会が、当時の美術界、あるいは広く一般世間に投げかけた衝撃は、例えるなら、スティーブジョブズがiPhoneを世に初めてプレゼンしたぐらい、あるいはそれ以上のものだったかもしれません。展示されていた作品が、当時の「常識」とは、ことごとく異なるものだったからです。

 

それまでの絵画の主題(題材、モチーフ)は、神話や宗教に関するものがほとんど。鑑賞者に荘厳なテーマを想起させるようなものこそが、描くに相応しいものでした。描き方も、輪郭線がはっきりとしていて、筆の跡が残ることのないよう、綺麗に塗られていることが「常識」とされていました。何より、画家として当時身をなそうとするのであれば、王立アカデミー(国立の美術学校のようなもの)で学び、サロン(官展=国が主宰する展覧会)に入選することが一番の道。その道を歩むには、この「常識」をなぞるのが必須条件だった時代です。

 

ところが、印象派の画家たちが主題にしたのは日常のありふれた光景。しかも、絵の具を混ぜることなく、原色のままキャンパスに置いていく、筆跡(タッチ)が明らかに残る描き方(筆触分割と美術用語では言います)。何を描いているのか、一目ではわからないような作品だったのです。こうした、当時の常識では考えられない作品を、モネ達は、サロンとは別に独自の展覧会を開いて、世の中に示したのでした。

 

当時著名な批評家だった、ルイ・ルロワが、この展覧会を訪れ、くだんのモネの《印象、日の出》をさして、「印象しか描いていない。壁紙の方がまだ仕上がりが良いくらいだ。」と揶揄したことがきっかけで、後に印象派と呼ばれるようになったことも、逆に、印象派の画家たちの「イノベーター」ぶりを物語るエピソードです。

 

こうしてみると、アートの世界も、イノベーションは、一部の天才たちにより引き起こされるように思えますが、もう少し、印象派の背景を観ていくと、違った様子も見えてきます。

続きは「ビジネスに効く?アートな話②」をどうぞ。

【お知らせ】開催レポートがアップされています(アートフルライフ・デザインコース)

すっかりお知らせを忘れていました…。

昨年実施した「丸の内プラチナ大学 アートフルライフ・デザインコース」の開催レポートを、エコッツエリア協会さんのHPに挙げていただいてます。

コースの内容や雰囲気などを、プロのライターさんに記事にしていただいてますので、ぜひご一読ください。

【レポート】常識を外す、常識を広げるアートシンキング

今期(2019年)も、「アートフルライフ・デザインコース」は開講の予定です。企画が確定しだい、またご案内いたします。どうぞ、ご期待ください。

起業を志している方中心の連続講座をスタートアップハブ東京で開催します!


「アートのセンスで事業を磨く 「論理」では見えない事業の胆を「感性」から掴む四日間」
の連続講座を、START UP HUB TOKYO(略称スタハ)さんで3月に開催します!

・「論理(ロジック)」だけではく、「感性(センス)」を発揮して、事業アイディアを磨きたいと考えている方
→起業アイディア・事業計画・資金計画を、アートシンキングの手法により練り直してみたいと感じる方
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などといった方々にお勧めです!

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★無料講座ですが、受講に際しては選考があります

これまでとは少し異なる視点から、起業プランを練ってみませんか?
申込み、お待ちしてます!

あけましておめでとうございます!

 

奈良 春日大社での初詣

新年あけましておめでとうございます!

おかげさまで志事創業社は5年目の「新春」を迎えることができました。

昨年は『青黒塾 』 (事業開発アーティストを育てる)や、丸の内プラチナ大学での『アートフルライフデザインコース』など、ビジネスシーンにアートの視点を取り入れていくきっかけとなるような企画を、いくつか具体化することができました。

今年も、引き続き、アートの「切り口」を一つの大きな軸において、活動を広げていきたいと思います。

早速に1月29日(金)に、
「ビジネスパーソンもアートを学んだ方が良いですか?
〜『エグゼクティブは美術館に集う(「脳力」を覚醒する美術鑑賞)』著者 奥村高明氏をお迎えして~」
を開催いたします。

申込み詳細はこちらから

今年も志事創業社をどうぞよろしくお願いいたします!

 

アートも学ばなければいけませんかね?

アートは、これまでビジネスパーソンが真剣に「学ぶ・学びたい」対象にはなっていませんでしたが、この数年で様子が大きく変化してきているようです。

AI(人工知能)時代の「教育」はSTEM(S=Science科学,T=Technology技術,E=Engineering工学,M=Mathmateics数学)に加え、A=Art(美術)を含めたSTEAMが重要という議論が出てきたり、ユニコーン(巨大ベンチャー)企業の代表であるAirbnbの創業チームのアーティスト出身者が話題になったり、アートがビジネスパーソンの気になるトピックスになってきました。

ビジネス街の大型書店では、目立つところにアートに関わる書籍が並ぶようになりました。ざっと見渡しただけでも…

世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか? 』山口周 著
『西洋美術史 世界のビジネスエリートが身につける教養』木村泰司 著
『世界のビジネスリーダーがいまアートから学んでいること』ニール・ヒンディ著
『ビジネスの限界はアートで超えろ!』植村岳史 著
『なぜ、世界のエリートはどんなに忙しくても美術館に行くのか?』岡崎大輔 著

「ビジネス・エリートを目指すなら、アートは学んでよね!」と言わんがばかりです。ちなみに、ビジネス・エリートってどんな人なのか、個人的にとても関心があるのですか、それはさておき、アートは今やビジネス本の中でも「(そこそこ)売れる」と出版社が思うテーマになっていることは間違いないようです。

私は、ここで挙げた著作に全て目を通しました。…と、プチ自慢をしたいわけでも、ダイジェストしたいわけでもありませんので、ご安心?ください。
元々アート好きな私としては、とても楽しく読ませていただいたのですが、もし、これまでアートに興味や関心のなかった方が、こうした本に影響を受けて、「ビジネスに役立てたい」の一心からアートを学ぼうとすると、相当に窮屈な想い(≒退屈、苦痛)になるのではないかと思い始めたしだいです。

 

実は、私もアートはビジネスに役立つ! と本気で思っているのですが、「じゃあどう役立つの?」と質問されて説明を重ねるほど、自分が感じている「お役立ち感」から遠のく気がするのです。
「それはあなたの説明力の足りなさでしょう」…というご指摘には100%以上同意なのですが、それでも、定量的には勿論、定性的であれ文章等で伝えることは難しい。アートの魅力や可能性は、各人が体感するしかないのかなと。他人様からの説明を頭で「理解」するだけではく、色々な機会や場で五感で感じながら、何かの拍子に「ああ、そういうことか」と自分なりにアートの「お役立ち感」がわいてくる。教えてもらう学びではなくて、自らが気づき身に着けていくような学びとでも言えばよいでしょうか…うーん、やっぱりうまく言葉にできてないですね。ごめんなさい。

だからこそ、混んだ美術館で有名作品をチラ見するとか、美術史を必死に覚えるとかだけではなく、アートと自分がこってりと「触れ合う」ことが、とても大切です。いわゆる心の琴線に触れるような経験を(ネガティブに反応しちゃうような経験も含めて)重ねることこそ、アートの「学び」スタイルだと強く思います。

 

【お知らせ】アートシンキングVol3を開催しました♪

今年7月から始めた、現場で使うアートシンキング! の全3回シリーズ。
先日9月21日にVol3「Detail」の最終回を実施しました♪

今回は、自分のVisionをいかに伝えるかということで、”テイストオブジェ”を作成いただきました。 え? ”テイストオブジェ”?

勿論これは造語ですが、自身のVisionが実現している世界感や、そこで見られるシーンを、アートでいうところのコラージュ作品で仕上げているというもの。
(冒頭の写真は、参加者皆様が作成した自身の”テイストオブジェ”との記念写真!)

「創作意欲を刺激されて楽しかった」

「アートって面白い」

「初めて参加して新しい視点を見つけるきっかけになった気がします」

「ビジネスにおいて、ARTがとても重要なんだと思いました」

アンケートには嬉しいコメントが続々でした。

…とうことで続々編の開催を早速に検討開始します(^^)

【お知らせ】美術検定のHPに体験記を掲載いただきました

昨年度から、「アート×ビジネス」の視点をビジネスパーソンに知っていだたくことを、弊社の事業テーマの一つとしています。

ということで、アートを語るには、ちゃんと基礎知識を学んでおかねばと、美術検定1級合格を目指して(自分としては)猛勉したところ、昨年末に1級=アートナビゲーターとして合格(認定)されました。

その経験談と自分の目指している方向感を、この度、美術検定のHPに掲載いただきましたので、ぜひぜひご覧ください。

尚、今年の試験は11月11日に実施(申し込みは10月4日まで)だそうです。
ビジネスパーソンの新しい「武器」になる予感(^^)

美術検定の合格体験記はこちらから

【アート】Art Thinking ~現場で使うアートシンキング! 第1回を開催しました!

7月10日に大手町の3×3LabFutureでアートシンキングのイベントを、デザインスクールの阿佐ヶ谷学園様と協働して開催しました♪

学生さんを含む、30名近いアートにもビジネスにも関心の高い皆さんに集まっていただき、熱く楽しい時間となりました。

ゲストの松本隆則さんから、「アートシンキング」のポイントをインプットしていただきながら、参加者皆さんと体感ワークをしていきました。今回のキーワードは「Vision」。これまでの意味づけ(≒常識)を、別の視点から、いかに新しい意味を見つけられるか?

全3回シリーズの第2回(次回)「Story」は8月31日に開催予定です。

★個別の回に単独で参加しても大丈夫です…というか大歓迎です!

アートに関心ある方もそうでない方も、ビジネスに造詣の深い方もそうでない方も、ぜひぜひ、いらしてください。